ジェロラモ・カルダーノの格言 2


● どのような人だったのか 

  カルダーノの格言を続けます。彼は飲んだくれで良い評判を得た人物ではありません。しかしながら、これらの格言を読む限りでは、どこにそんな軟弱な飲んだくれのような考え方が潜んでいるのだろうかと疑われるほどに、格調が高いものとなっています。

 


● Girolamo Cardano (ジェロラモ・カルダーノ)

The Astrological Aphorisms Of Cardano

 2.The Principles of Art are three, Reason, Sense, and Experience, but the Principles of Operations four, viz: The Planets, The Parts of Heaven, The Fixed Stars, and The Site or Position* of all those in respect of one another.  

       * i.e., Aspects and Configurations.

 芸術の(占星術)の至高の奥義は三つ。それは、理性、知性、経験である。判断の至高の原則は四つ。それらは、惑星、ハウス、恒星、そして、*それぞれに関した互いの位置である。

       * すなわち、アスペクト等の構成である。

 

  カルダーノは、惑星達と恒星達の位置に付いてだけ言及しているわけではありません。

 

  アスペクトと、その位置〔関係〕が重要だと述べています。

 

  位置とそれらの構成について、その中身には、アスペクトとリセプションが両方とも含まれているでしょう。惑星の位置によって、エッセンシャル・ディグニティーもアクシデンタル・ディグニティーも決まるわけですから、ディグニティーも含まれると考えられます。

 


  カルダーノは格言集の早い段階で、西洋占星術全般に関する注意を喚起したいと考えていたことは間違いありません。この2番目の格言も、ひじょうに広範囲に及ぶものだと考えられます。幅広いものを取り扱うには、バックグラウンドに心を行き渡らせる精神が要るものと思います。 

 

  そうしておいて、順々に個別の事柄に言及していきますが、カルダーノのこの格言集に限っては、19番目まで総じて西洋占星術に関わる全般的な事柄について述べています。

 

  1番目の格言は、ヒッポクラテスの詩句を借りたもので、『少年老い易く、学成り難し…』に通じるもので、「人生は短し、勉強は難い」みたいな文言です。だからこそ、深い理解を得るには、自分で考えるだけでなく、先人達の残してくれた西洋占星術の本を真剣に学べば上達も早いよ、というような意味の事が書かれています。1番目のものはあまりにも格調高く、どう考えても私が訳したのでは格が下がってしまいそうです。それで、概略をここに述べるに留めます。

 

  上記の英文のものは、格言の2番目のものです。

 


  2番目の格言で述べられている事柄は、全く基本的なことです。しかしながら、占星術の内部に横たわる様々なテクニックを知れば知るほど、この格言の意味が味わい深くなってきます。

 

  今日ではアスペクトこそ一般的になってきました。しかし、アスペクトはタイミングを表すだけなのですが、タイミングそのものが、物事の成就を示す場合もあります。アスペクトに絡むその他の事柄では、アスペクトしていながら物事が成就しない場合、アスペクトしていて物事が成就する場合、これら両方の場合に、それが何故なのかが分かってくると西洋占星術は、より楽しくなってきます。

 

  物事が完成する場合には、アスペクトに必ずリセプションが伴っているものです。もっとも、リセプションがあっても、アスペクトがオポジションの場合には、完成の後の崩壊が待っていますが。

 

  それらの全てを ・・・全てを学ぶことは至難ですが・・・ 知ってこそ、アスペクトが深く理解できていくでしょう。

 

  それに対して、アスペクトが無くて、リセプションだけでも、様々な条件が要りますが、物事が完成に向かう事があります。


  占星術師のグイード・ボナタスは、物事の完成に関して秀逸な研究をしています。彼はアスペクトだけではなく、トランスファー・オブ・ライトや、コレクション・オブ・ライトに言及して、それらがどのような状態で訪れてくれれば完成なのかという法則を書いてくれています。ご一読のほど。