エッセンシャル・ディグニティー



● 惑星は、そこかしこのサインで良さを持ったり、悪さを引き出されたりしてしまいます。最も有名なものは、牡羊のサインで火星がロードとなると言われるようなことで、その意味は、火星が牡羊のサインに入っていれば、火星が火星らしく振舞うことができる、といったような事を指します。それがロード(マネジメントをする役を持つもの = 管理責任者)の責任です。

 

火星が牡羊のサインに入っている事を、「火星がロードである」、「火星は牡羊のサインのドミサイル(本籍地)に当たる」、「火星が火星のディグニティーを得ている」、「火星は牡羊のサインのディスポジターである」、「火星は牡羊のサインのレシーバーになる」とか、様々な方法で表現されます。どれも同じような意味ですが、使われる場面によって表現方法が違っています。たとえ言葉遣いを間違えていても、筋を捉えていれば構いません。正確な意味は、誰にとっても捉え難いものです。

 

エッセンシャル・ディグニティーの表は、チャートから惑星の位置を把握することでスタートします。表のサインの度数に当たる惑星が、それぞれのディグニティのディスポジターであり、当該の惑星であればディグニティーを得、そこに置かれている惑星は、レシーブされます。

 

エッセンシャル・ディグニティーの表の申し込み。左記は、エジプシャン・タームの表です。
下記のものは、カルディアン・タームの表です。幾つかの考慮を重ねた結果、エジプシャンタームの表を使うようにお勧めしています。

 


● あなたが木星を、山羊(♑)のサインの5度にあることを確認したとします。そうしたならば山羊(♑)のサインの行を参照します。縦のサインの欄と、山羊(♑)のサインの交わった所を見ると、そこには()の印が書かれています。ロードが土星である事を示しています。土星を、できれば別の紙に書き写し、表にしていきます。手戻り作業を無くするためです。

 

次にイグザルテーションの欄を参照すると、[火星28]と書かれたものが見つかります。これは、イグザルテーションのロードが火星である事を示しています。28は度数のことで、詳しくはイグザルテーションの項目を参照ください。木星が5度にあって、そこでは火星がイグザルテーションのロードである事が分かります。それを紙に書き写し、表にしていきます。

 


● 同じように、トリプリシティーの欄も参照して、どの惑星がトリプリシティーのロードになっているかを探します。トリプリシティーは、昼(Day)と夜(Night)の二つに別れています。昼と夜では、違う惑星がロードとなることを示しています。チャートが昼であれば、山羊のサインのトリプリシティーのロードは金星であり、夜であれば月です。それを紙に書き写し、表にしていきます。

 

太陽が地平線より上にあれば、昼のチャート。太陽が地平線より下にあるなら、夜のチャートです。

 




各 エッセンシャル・ディグニティーの簡単な意味

● サイン、又は、ドミサイルのディグニティー

 

牡牛のサインに入っている金星は、高いエッセンシャル・ディグニティーを得ます。高いディグニティーを得ていることによって、金星は冷静に回りの状況を知ることができ、その場に相応しいことが何なのかを判断できます。ただし、それが分かっていても、行動できるかどうかは別のことです。行動がとれるかどうかは、もう一つのディグニティー、アクシデンタル・ディグニティーを得ているかどうかによります。

 

● イグザルテーションのディグニティー 

 

牡牛のサインに入っている月は、イグザルテーションのディグニティーを得ます。これは王権を得ているという意味の方が原意に近い。マンションでいうと、ドミサイルは住民で、本籍として登録する人です。イグザルテーションは家主、所有者のような感覚です。マンションの家賃の支払は家主がするものであり、建築維持費の支払いは、家主が行います。時と場合によって、居住者が強い場合と、家主が強い場合があります。管理をする方面が違うと考えると分かり易い。

  

● トリプリシティーのディグニティー

 

ドロセウスの捉えるトリプリシティーのロードは、サインのディグニティーに継ぐ影響力をチャートに与えます。それくらい、無視できない物です。いつの頃からか、イグザルテーションと呼ばれるディグニティーの方が勝る事になっていきました。トリプリシティーは、別名友情のトリプリシティーとも呼ばれます。この意味は、サインが愛情なら、トリプリシティーが友情という意味です。イグザルテーションは?  恋愛関係なら、友達以上恋人未満です。恋愛の質問で、相手をイグザルテーションでレシーブしているなら、愛と変わりません。

 

● タームのディグニティー

 

ディグニティーとしては、フェースと共に少ないものです。無いよりもあった方が良く、時々は軽視され、読み飛ばされます。自分自身のタームに居るということは、楽しめるわけではないけれども、腰を降ろして落ち着くことができるという感覚です。絶対的な自身に溢れているわけではないけれども、フラットに肩に力を入れずに生きることができます。

 

● フェースのディグニティー

 

これこそ、無いよりもましと言われるものです。惑星はディグニティーを持たないと、それだけでペレグリン(下記参照)という根なし草のような存在になるからです。

  


エッセンシャル・デビリティー

 

● ペレグリン

 

惑星が一切のディグニティーを持っていない状況です。デトリメントでもフォールでも無い状況にさらされています。古代の占星家は点数として-5点を与えています。これは、デトリメントに匹敵する悪さとなります。ただし、意味合いが違うので同じようには作用しません。本質(エッセンシャル)的には弱さを示しますが、ディスポジターが良いと、アスペクトが無くても良くなれます。

 

● デトリメント

 

エッセンシャル・ディグニティーの表の、サイン(ドミサイル)のディグニティーのちょうどオポジションのサインで、惑星はデトリメントとなります。逆の立場にある、もっとも ‶らしくなれない” 場所に居て、自分を正確に表現できません。質問ごとに様々に変化する、一種の悪さです。

 

● フォール

 

イグザルテーション(王権)のオポジションに当たるのが、フォールです。牢屋に入れられた王のような感覚です。フォールは、昔から井戸に落ちた人を表しています。近くに来た人にしか、助け声は届きません。例えば山羊(♑)のサインで木星はフォールですが、たまたま火星がアスペクトやコンジャンクションで木星に近付く(アプローチする)と、リセプションが生じて、木星を助け出してくれます。従って、フォールになっている惑星でも、助けがあればチャートの中で活きます。

 

このようなリセプションを探し出すにも、エッセンシャル・ディグニティーを参照し、別の紙に書き出し、リセプションを観察するす必要があります。それによって、多くの見落としを避けられます。