彼の残した、『西洋占星術の概要』Astrological Compendium について
正式な名前は
『エジプト人レトリウスによる、(アンティオコスの残した遺産)
占星術芸術の完全な技術と解釈』
エジプト人レトリウスは、完全な西洋占星術の法則を残そうとしましたが、叶わなかったようです。しかし、彼の残した幾らかの書物は、大変貴重な文献として輝いています。古代の占星術がどのような道筋を辿りレトリウスの元に届けられたのか、そして、その内容はどのようなものだったのかを伺い知ることができます。
この本の中には、アテネのアンティオコス(2世紀)の法典と呼ばれる占星術のテクストから、あるいは、テウクロスと呼ばれる人から伝えられたもの、ドロセウス(1世紀)、プトレマイオス(2世紀)、[ヴィチアス]ヴァレンス(2世紀)、ポーフェリー(3世紀)といった人たちのものから引用されたものが含まれています。また、フィルミクス・マーティルナスの『マテシス』(352年)やアレクサンドリアのポールの『占星術入門』(378年)に関連したものも載せられています。
『概要』となっていますから、もっと大きな書籍が書かれたのかもしれません。
どのような内容だったのかは、下記に一部の目次を載せていますから、そこから察せられるものもあるかもしれません。一般的な西洋占星術の法則から述べ始められ、次第に個々の項目に説明が及びます。彼はハウスの説明を、12ハウスから始めます。なぜそうしたのかは書かれていません。12ハウスは「悪い守護神(Bad Daemon)」と呼ばれ・・・云々と書き始めます。ASCの前座として上昇していて、「メタコスミック(meta₋cosmic)」であると述べます。メタコスミック? 超宇宙とでも訳すのでしょうか? 吸い込まれていく広大無辺の宇宙とでもいう感覚なのでしょうか? 何度も何度も、ここは土星のハウスであると繰り返します。
例えば、12ハウスは、子供の生まれる前に行われる数々の事柄であるから、羊水の噴出する場所だから土星であるとか、生と死の真っただ中に置かれているからこそ、暗い場所であり土星の場所なのだとか、火星のオポジションとなる場所だから、土星の場所なのだとも述べます。(火星は6ハウスにその居所を持つ惑星であることを知らないと、この表現が出てきません)
レトリウスの1ハウスの説明は、非常に説得力に満ちています。「悪霊」のハウスを通ってきたからこそ、つまり厄介事の後に生命が誕生するので、光の中に生まれた魂を、生命と生命体について詳しく確かめられる場所なのだ・・・と続けます。
少~しだけ、そうか、12ハウスを「悪霊」のハウス、悪い場所と説明しなければならなかったので、12ハウスを始めに持ってきたのかと思います。上昇の感覚、右回りの感覚で、生まれることを捉えています。おぎゃ~と生まれる意義から、呼吸の意味を持つ水星に相応しいのだとも述べます。そして、水星が楽しむハウスなのだと、ジョイに近い言葉使いをしています。
これらの全てのハウスの意味合いが、アラビアの占星術師たちにも引き継がれていきます。
目 次
翻訳者による序文。(初版の序文) I.
第二版の序文 II
第三版の序文 III
第四版の序文 IV
序章 1
1.男性格と女性格のサイン、ハウス、惑星。男性格と女性格にやがてなる惑星達
2.星々の分類 (The Sects)
3.十二サインの性質
4.きめの粗いざらざらした肌、ハンセン病の、汚らわしい、壊血病のサイン
5.淫らなサイン (Licentious:不道徳なサイン)
6.目を痛めるサイン
7.イグザルテーションとフォールについて (Exaltations and Falls.)
8.星々のオポジション (The Oppositions of the Stars.)
9.トリプリシティーのルーラーの分化
10. 36のデーカンとパラナテロンタとフェイス
11.輝く恒星とパラナテロンタの力
12.エジプト人とプトレマイオスによる、タームと、輝くもしくは影になる度数
13.サインの上昇時間
14.サインに支配されている身体の各部位
15.トライン、スクエア、オポジションと、オポジションによる互いの分離について
16.分離しているサインと互いに親和的なサイン
17.共感的なスクエアとそうでないもの
18.星々のドデカテモリー
19.聞こえる、見えるサイン
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101. 新月と満月から推し量る両親の事柄
102. 両親のどちらが早く亡くなるか
103. 以前に誕生した子供の数
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109. アプリケーションとセパレーション
110. 例題 (An Example.)
111. 縛り付けるもの・束縛 (Bonding. )
112. ボイド・オブ・コース (Void of Course.)
113. 文法学者のネイティビティー
114. 何故、彼は文法学者だったのか
115. 何故、彼は裏切り者になったのか
116. その人の好色の度合い
117. その人の幸運が上昇する時
付録 I バビロニアのテウクロスから[伝えられた]12サイン
[Aries. ♈のサイン ]
[Taurus. ♉のサイン]
[Gemini. ♊のサイン]
[Cancer. ♋のサイン]
[Leo. ♌のサイン]
[Virgo. ♍のサイン]
[Libra. ♎のサイン]
[Scorpio. ♏のサイン]
[Sagittarius. ♐のサイン]
[Capricorn. ♑のサイン]
[Aquarius. ♒のサイン]
[Pisces. ♓のサイン]
要約
付録 II 各惑星の性質
ネイタル・リーディングの本 | 推薦図書 『星の階梯シリーズ』