● 月がボイドになっている時とは、月の進行方向にアスペクトもコンジャンクションをする惑星も無い時のことです。その意義は、現在の状況が大きく変化をしないということを示します。物事が起きないというわけではありません。何かが切り替わらないという意味です。イベントの結果が、現在と同じということです。待ち望んでいる事柄は、起きず、大きな変化がないことになります。
就職のことなら、試験を受けても(イベント)、現在(就職できていない)状態が、そのまま、(就職できていない)状況として残ります。
バーゲンの質問であれば、その商店の品物が一個も売れないということではなく、自分が望む品物は、売れずに(変化せずに)、そのまま残っているという意味になります。
下記のチャートはボイドではありません。
月は、獅子のサインの端までに達しても他の惑星とのアスペクトやコンジャンクションをしません。しかし、サインを超えてから太陽とアスペクトを完成します。その太陽を、月のオーブの範囲内(12°)で既に捉えています。このアスペクトは意味を持ちます。これら、サインを超えてからアスペクトをすることを、イブン・エズラという占星家はデソシエート・アプリケーションと呼び、当たり前のように過去の占星家達は使っていました。事実です。
リリーはこのようなチャートを、何も言わずに、ボイドとも言わずに、直ぐに判断にとりかかっています。
リリーは、クリスチャン・アストロロジーの定義をする部分(112p)で、「月が今居るサインの端までに、どの惑星とも結合をしなかったならばボイドとなる」と書いていますが、この彼自身のしたためた定義と違ったことをしているわけです。でも、リリー以外の過去の占星家達も、サインの端までにアスペクトの無いものをボイドと定義していますから、何もリリーだけが特別間違った風に書いているわけではありません。1世紀には、サインのことは一切出てきませんが、8世紀の本には、サインの端までに… という文言が出てきます。でも、実例では、サインを超えてアスペクトをしても影響力が有り、物事は成就すると判断しています。
下記の文節は、とても変ですが、ボイドの概念を理解すれば納得できます。
● サインの端に月が達するまでに、月が他の惑星とコンジャンクションやアスペクトをしなくても、次のサインに入ってアスペクトをする惑星があるなら、
『○○は、できる』
と、判断できる事があります。
一般的な質問なら、
『○○は、できる』
と、判断して構いません。
それでも、
『私は今日のパーティーで、私の将来の夫を見つけることができますか?』
という質問であれば、月がサインの端に達するまでにどの惑星ともコンジャンクションやアスペクトをしなかったならば、ボイドです。
『見つかりません』
と、判断します。
● ホラリー占星術は、「質問に依存する占い」なので、
「今日中に」という期間限定の質問ですから、全ての惑星達は、サインを超えない範囲だけでチャートを解釈します。
したがって、この質問の場合には、”ボイド”になってしまうのです。
ネイタル・リーディングの本 | 推薦図書 『星の階梯シリーズ』