The Considerations Before Judgement

 西洋占星術の 5ハウスの金星



● 金星と5ハウスのことについて、どうも私を納得させてくれるような理由が見つかりません。金星は土星から数えて5番目の惑星ですから5ハウスを得ることは納得できます。こうなったら、神話を頼るしかありません。神話の中の金星は、アフロディーティ、美の神金星です。ヴィーナス。


  もう、これしか頼るべき源泉はありません。しかしながら、どうして金星が楽しみ、愉しみ、喜び、歓び、悦びを表すのでしょう?

 

  5ハウスは、子供の部屋です。そして、妊娠、妊娠した女性、生まれてきていない子供の性別を示し、子供の健康状態を示し、時には子供からの悩みも示します。でも、これらの意味は、愉しみや歓びと少し乖離しているようにも思えます。

 

  デボラ・ホールディング女史も同じようにちょっと曖昧に思えると書いています※(42p)。

 

  例えば、モダンな占星術では獅子のサインとここは一致してきます。獅子のサインは太陽によって生命ある物が生み出されるという意味になりますから子供のハウスとなるかもしれません。しかしながら、獅子のサインは同時にバーレン・サインと呼ばれる物事が生み出されないサインにもなっています。5ハウスは妊娠のハウスですが、太陽と関係づけられると妊娠をしなくなります。

 

  5ハウスの支配星は金星であることに間違いないのです。でも、その金星の意味をどこから引っ張り出してきたのかが分からないのです。


 

  ハウスと惑星の意味が密接に絡み合ってきた経緯が、他の惑星の意味においても見つかれば、占星術上の逸脱にはならないでしょう。ハウスの観察から導き出されて、惑星に意味が与えられているケースが他にもあるでしょうか? 金星にはそれが行われた様子です。

 

  アセンダントと土星なら、土星の意味の方がアセンダントに与えられました。

  2ハウスと木星なら、どちらかというと2ハウスの意味を木星に与えています。

  3ハウスは、火星よりもジョイとしての月の意味の方を多く持っています。月の意味は様々な混合された意味があります。月を観察してその意味を3ハウスに持ち込んだと言えそうです。


  4ハウスには太陽の意味よりも、天底としての位置が意味を持たせています。又、その意味を太陽に転嫁している様子を見せません。太陽はその個性で全く独自の占星術的な意味を備え、それが9ハウスへ降ろされたように思えます。

 

  そして5ハウスです。木星と2ハウスのように、5ハウスの意味が金星に配分されたように思えてならないのです。又、事実そうなっています。それは、もともとハウスが太陽の動きと密接に関係のあるところから、太陽が5ハウスに達した時に、人々が生活上で得る喜びや楽しみが含ませられたと考えるのは私だけでしょうか?

 

  2ハウスと木星の関係に近いのです。「木星は肉体(土星)を支えるための滋養分として食べ物を表している」という感覚に近いのです。

 

  2ハウス(木星)の意味を導き出す時にはあまり違和感がありませんが、5ハウスと金星に至ると、ハウスと惑星の意味が密接に関わり合っている事を忘れるようです。それは、木星が隣のハウスの土星と関わり合っていることと無関係ではありません。金星の場合は、単独で意味を持ってしまうから違和感が付きまとうのでしょう。

 

  惑星の意味とハウスの意味が密接に絡み合っている事は、忘れてはいけない占星術上の立脚点なのです。西洋占星術は、融合的で、統合的な背景を持っています。だからと言って、矛盾を呈するものでもありません。

 



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