第三者の登場する 恋愛の質問
● このページで扱っているのは判断方法です。西洋占星術の判断結果を得たいだけの人にとってはあまり面白くないページかもしれません。西洋占星術師がどのようなプロセスで、ホロスコープを判断しているのかにご興味を持っていただければ幸いです。
● 恋愛関係の質問では、もう一人の別の人物、つまり付き合っている彼/彼女以外の、3人目の人物が登場する質問がよくあります。4番目の人物が登場することもあります。
上記 ややこしい言い方ですから、簡単にします。
「私が付き合っている彼に、他に女がいますか?」という質問です。
そして、質問者にも夫がいる場合もあります。
ASC
カレント(質問者)はアセンダントを得ます。
7ハウスは?
私が付き合っている彼?
その彼女? (付き合っている彼の妻かもしれない!)
私の夫?
彼が付き合っているかもしれない女(彼の妻かもしれない)は、まさか彼の5番目のハウスではないでしょう。
カレントは情事の相手のことを聞いていますから、彼は5ハウスなのでしょうか?
じゃあ、夫はのっけから7ハウス?
この場合、カレントが結婚していることを隠して質問していたらどうなるのでしょうか?
歴代の占星家たちは、レシーブとアスペクトを駆使することで、それらを区分してきました。
17世紀以前の古典的な占星術では、
正式な関係であろうとなかろうと、「質問の対象となっている人」が第7ハウスを得ます。ここでは、彼/彼女です。
● 5ハウスに不倫相手を当てはめたのはビクトリア王朝時代のエドワード7世の在位当時(1901年から1910年までの10年足らず)のイギリスの占星家たちです。
※ 1
彼らは知ってか知らずか、(レシーブの概念を無視した)リセプションに頼らない占星術を押し進めました。既にサインの概念とハウスの概念がほぼ同等といった、無茶苦茶な西洋占星術が(17世紀に)できあがっていたため、それに輪を掛けたような新しい星占いが構築されたのです。
ヨーロッパでもアメリカでも日本でも、2000年の始めの頃までは真面目にそのような占星術に取り組む人たちもいましたが、研究熱心な人たちの中には、そのような占星術の「ハウスの概念は充てにならない」という見事なまでの結論を導き出した人たちもいます。事実、サインとハウスをほぼ同等にしてしまっては、充てにできないどころか弊害も生み出してしまいます。
今日では、西洋占星術の先生を見極める一つの手段として、その先生が、サインとハウスの概念を一緒にしているかどうかが一つの目安です。同等にしている先生方は勉強が足りません。その場合、人生の指針を示すのはその先生の思想であって占いではありません。
ここで論じている7ハウスの事柄では、誰が7ハウスを占め、不倫相手はどの惑星なのかの議論につながります。5ハウスは不倫相手ではありません。当然12ハウスも不倫相手ではありません。
恋愛に絡む3番目の人、4番目の人たちをどのように見つけるのか。これには幾つかの段階を踏む必要があります。
5ハウスや12ハウスの惑星が浮気をしている相手を示さないのであれば、どのようにして、第3の人物や、第4の人物を見つけるのでしょう? 古典的な方法は下記のようなものです。
● 1つ目には、コンジャンクトしている惑星があります。コンジャンクション(conjunction・結合)は、copulation(合体)と同じ語源を持つ言葉です。ですから、3度以内にある惑星は(特にアプローチであれば ~ その惑星のオーブ内なら)関係を持っている人です。[判断の目安は、2つ目の方が先になります]
● 2つ目は、トリプリシティーのロードと呼ばれる惑星たちがあります。アセンダントのトリプリシティーの1つが、7ハウスのロードとアスペクトをしている場合、それが彼/彼女が付き合っている第三者になります。トリプリシティーというのは代役のことです。私の代わりをしてくれる惑星ですが、この場合は嬉しくない役割を担っているわけです。
● 3つ目は、7ハウスに入っている惑星です。文字通り、その家(ハウス)に居る人です。カレントの表示体や7ハウスのロードは除きます。月が入っていても、その月が私の共同表示星ではない可能性があります。月と別の惑星の2つがあれば、月は私で、別の惑星が第三者です。もちろん、アセンダントのロードや7ハウスのロードは除きます。7ハウスと違うサインであれば違う家に住む人で、関係者ではありません。
● 4つ目は、アセンダントに入っている惑星が、示唆する関係が存在するかもしれません。少し難しい言い回しですが、アセンダントに入っている惑星は、私の要素の1つですから、代役の存在を示すこともあり得るわけです。
● 5つ目は、アスペクトして強くレシーブをしている惑星が、第3の人や第4の人を表す可能性があります。可能性であり、断定ではありません。しかし、質問内容に沿い、確実にそんな人がいて間違いがなければ第3者でしょう。
こうやって判断していくので、リセプションの理解がどうしても必要です。
例題で説明をします。
質問は、「彼は浮気をしていますか?」
カレントは質問者としてASCです(土星)。彼は、7ハウスのロードである太陽です。この場合、月も彼です。月の扱い方は難易度が高いので記載していません。
水星はこの後順行に戻るので、土星とコンタクトを取ることはありません。
金星は火星とのコンジャンクションを急いでいます。(火星が土星とオポジションになる方が早いのですが。カレントは緊急事態に追い込まれる、腹を立てる… などを意味します)
太陽(彼)が、ASCに入っている木星とアスペクトを取ります。アスペクトを取った時、
太陽は木星(♃)のイグザルテーションの場所になります。)
上述した条件でチャートを判断していきます。浮気をしていない最も簡単な表示は、ASCのロードとDESCのロードのアスペクトを見つけることですが、ここにはありません。
彼(太陽)がアスペクトをしに行くのはASCのトリプリシティーである木星です。しかも、ASCに入っていて私の何らかの[要素]として示されているわけです。更に、太陽はこれから木星にレシーブも受けるわけです。3°以内にあることから既に関係を持っていることにもなります。トライン・アスペクトになることから、彼らの関係は良好とも見えます。
トリプリシティーの惑星は、私の何らかの部分を助けてくれるとも読めるのですが、私が担いたい役割を、代わりに木星が行っていることになります。嬉しくないでしょう。ASCに入っているからといって、安心してはいけないのです。
上記のチャートは、ストレートに「彼が浮気をしていますか?」に取り組みましたが、最初のステップを省いています。最初のステップで「浮気をしていない」となれば、このようなチャートのリーディングをしません。
※ 1
私自身はその時代の占星術の本を読んだわけではありません。私の師匠であるジョン・フローリーが、The Real Astrology Applied の5ハウスの項目の最初の方の六文節で述べています。
ネイタル・リーディングの本 | 推薦図書 『星の階梯シリーズ』