月


The Moon

コールド&モイスト、夜の惑星、女性格。

 

月が最も強いと言われるのは、半月から満月にかけて輝く面が徐々に増えていくときで、エッセンシャル・ディグニティーも持っている時です。満月から半月へ光が減じる時も、決して弱いわけではありません。

 

満月になる時、月は、太陽に全てを委ねているような状態とされ、それゆえ力がありません。太陽とのコンバストは蟹のサインや牡牛のサイン以外ではとても弱い月となります。

ネイタルの中で月がトラインでアスペクトしている惑星は、まるで電気のスイッチが入れられたようによく働きます。太陽によるトラインは、エネルギーが注ぎ込まれるようにベネフィックになります。月の時は、良くも悪くも作用します。

 

水と関係していることから、水辺や水中に生息している生き物、魚、カワウソ、カエルなどが月です。また、夜と関係のある動植物も月だとされます。ナメクジ、フクロウ、ウミガメ、月夜茸などです。

 

真珠は海の貝から取り出されるので、宝石類の中では月です。その他、もろい岩石が月のものとして分類されています。月長石、雪花石膏。色の白さで、空色縞瑪瑙の白いものは特にお奨めする月の石です。体では、胸、子宮、腹、および腸を支配します。


占星術を行う上で、最も扱うのが難しいのがこの月です。

 

分かり易いことから「新月」や「満月」にとても良い意味が有りそうですが、実際には違います。月と太陽のコンジャンクションは、月が太陽にコンバストされる時期です。だから見えません。コンバストは元気のない象徴になります。

 

満月の時は、コンバスタ・ウェイと呼び、完全に太陽に支配されているから「満月」になると考えられていて、この形は月が最も弱くなるコンバストに比べて2番目に悪い時期として知られています。

 

従って、月は、「新月」でも「満月」でも、力は強くありません。

「満月の夜に浄化するとパワーストーンに神秘が宿る」

というのは、満月が明るいからという意味であり、西洋占星術とは何の関係もない言われです。

 

西洋占星術師だったら、太陽の力を月がもらう、太陽とのトラインの時期を選ぶでしょう。太陽から力を得ている月(太った三日月・ギボウス・ムーン・凸月)から、地上にも肥沃さが反射されて増すとしています。

 

他の惑星の位置によっても「月」はかなり扱うのが厄介な惑星です。月のボイドだけが頻繁に言われるのに、古典的なボイドの意味が伝わっていません。古代の占星家がどう述べているか、それを知った上でボイドであるとか、ボイドで無いと言及してほしいものです。

月には、月にだけ作用するバイア・コンバスタという場所もあります。「月」特有の場所であり、他の惑星に影響することはありません。これはメンスレーションに関係があるらしいと言われています。天秤のサイン15度から、蠍のサインの15度まで、肉体の器官では性器を示すからです。そして月は女性の「月のもの」と言われている事柄と一致します。

 

一か月に一度起きることは、月と関連しています。一か月の「月」も太陰暦ですが、まさに月です。太陽は「年」と関係があります。

 

月は、ホラリー占星術では、アセンダントのロードと一緒に、たいていはカレントの共同表示星として、カレントの心をなぞると言われます。

そうではありながら、同時に他の表示を担っている場合も多くあります。タイミングの指標になります。動き回るモノのナチュラル・ルーラーです。頻繁に、他の惑星からもう一つの別の惑星に意義を移すトランスレーションを行います。オーブは12度です。


◆・・・ 月の観察  ・・・◆


占星術で月を見るときには、絶えず次のような事柄を気にかけます。

  1. コンバストになっていないか(新月は月が最悪の状態です)

  2. 満月になっていないか(新月と同じように、完全に太陽[男神]に光で支配されている形として、月[女神]の弱い状態です。古典的にはコンバスト・ディグリーに位置していると呼びます)

  3. バイア・コンバスタに居ないか(天秤の15度から、蠍のサインの15度までを言います。感情的な事柄にとって血や涙を流す場所です)

  4. マレフィックな惑星達とアスペクトをしていないか(セキスタイルとトラインは除いて、リセプションの無い他の接合は良くありません)

  5. マレフィックな惑星達に挟まれていないか(ビシージングと呼びます。土星と火星に挟まれていることで、恐怖を感じている状態とされます)

  6. ボイドになっていないか(この概念には、サインの端までというものと、サインを超えてでも、月のオーブ以内で他の惑星と接合が無い場合の二つがあります。そのどちらも考慮すべきです)

  7. 月がデトリメントやフォールになっていないか(山羊・水瓶・蠍のサインでは、月はエッセンシャル・デビリティー(本質的虚弱状態)となります)

  8. ドラゴン・ヘッドやドラゴン・テイルとコンジャンクションしている時(月にとってドラゴン・ヘッドが良いのか悪いのか、現時点では分かりません。ただ、占星家ボナタスは良くないと書いています。もし、その時に新月や満月であれば蝕が起きるからです。片側6度と書かれていますが、この角度もやや広く感じます。私は3度であると思います)

  9. 月の支配する蟹のサインから数えて12番目のサインである双子のサインは、月にとって気の重くなるサインです。水星が支配星である事からも、それほど好きな場所ではありません。水星と月は仲がよくありません)

  10. 全てのサインで、サインの終りにあることは月にとって土星か火星のタームと呼ばれる場所に入るので幾分良くないとされます

  11. 全ての惑星が、6ハウス、8ハウス、12ハウス、2ハウスを苦手としています。月はケーダントである3ハウスを除いて上記のハウスではアセンダントとアスペクトを持てないゆえに、幾分弱くなります。

  12. アセンダントに月が入っているのは、感情的な事柄に関して良くはありません。

このように、月はマンデン占星術を除き、どの占星術のジャンルでもしっかりと観察するべき惑星となっています。特にホラリー占星術は月の占星術と呼ばれるように、全ての占星術の基礎となりますから、天球構造の一番下を占める月の考慮が欠かせません。ホラリーで言えることは、ほとんどの場合、月をカレントの共同表示星として、アセンダントのロードと同等に観察することです。時には、条件さえそろえば、アセンダントのロードと月の主たる表示星としての地位を差し替えもします。