1ハウス = アセンダント = HoRoscopE



● 1ハウスは、別名アセンダントと呼びます。星々が上昇する地点のことです。東の空を指します。昔は、ホロスコープと呼びました。1ハウスのカスプを、アセンダントと呼ぶ場合もあります。

 

  全ての上昇してくる天体が目に見え出す場所ではありません。西洋占星術は黄道に垂線を降ろして星々の位置を決定するので、既に、地平線から上昇している場合、まだ、地平線下にある場合でも、アセンダントに在ると示されることがしょっちゅうです。

 

  ですから、アセンダントは、地平線からちょっと上の部分も1ハウスなのです。家(ハウス)にエントランスがあると考えてもいいでしょう。約5度ぐらいまでです。

 

  「約」「ぐらい」?  そう。とっても曖昧なのです。時には、上昇して見え始めたとたんに、12ハウスになることもあります。時には、太陽が12~13個分上昇していても1ハウスになるかもしれません。赤道軸で20分間の差になるのだと思います。

 

  これは、1ハウスの中にあって確かなアセンダントの中にある惑星を推し量るときに、1時間で規定していることと同類ではなかろうかと考えています。つまり、5度というのは、赤道軸で5度、約20分のことです。(これは定説ではありません。Kuni. Kawachi独自の説です。アセンダントでの強い場所が15度あるとは、Carmen Astrologicum にも書かれています。)

 

  光が最初にやって来る場所ということで、色は全てのカラーを代表する「白」を当てはめています。でも、朝靄もあるからでしょう、幾分弱い光、青白い光を表すとなっています。

 

  他にも、表情というのもあります。顔色、体つき、古くは精神から連想される知性というものも絡めています。心の働きの傾向、会話というより知性が要る演説に近いもの。人生の長さ(寿命)。寿命はここだけで見れるわけではありませんが。総合的なものです。チャートの他の部分が良くっても、アセンダントが良くなければ、うまく使いこなせません。アセンダントが良ければ、内容が多少悪くても、出入りするものは充分にその人に作用すると見ます。

 

  マニリウスやアル・ビルニは、人生と言ってのけています。その意味は分かりません。個性であり、心根であり、魂の質。まあ、多分これだけ揚げればニュアンスはつかめると思います。ホラリー占星術では質問者その人を表します。

 

  マニリウスはこの他、幼少時代、教育(若いうちに受ける)、幼少時の運・不運、生まれ故郷、事業の成功、職業、水星の神殿、とも言っていますが、残っているものは、今では水星の神殿ぐらいしか残っていません。割と自由な発想をしていることが分かります。幼少時代というのは今も少しありますね。

 

  前述の「水星の神殿」ですが、これがジョイ(JOY)と呼ぶものです。つまり水星の性質と、第1ハウスの性質がとても似通っていることから水星の為の神殿と呼びならわされることになりました。でも、これは水星が始まりの性質を持つということではありません。第1ハウスが水星にとっては良く似ていて、「彼が居てふさわしい」というだけです。

 

  同じじゃないけど似ている? 分かりませんか? ウィリアム・リリーという人は、何故そうなのかを次のように説明しています。「頭を表し、舌を現し、機転や記憶を司るので。もし水星がこのハウスで品位が 高かったならば、水星はその人を雄弁家にします。」で、何、どこがその理由なんだい? と再度聞きたくなるような説明ではあります。

 

 

 

アセンダントはどこからどこまで? (マイナス5度ルール)

  下に図を出しておきます。ハウスの説明の始めの三段落目に出ているものと同じです。

 

カスプに囚われずに、1ハウスを思い浮かべると、赤い線の範囲になります
カスプに囚われずに、1ハウスを思い浮かべると、赤い線の範囲になります

● 1ハウスは惑星の1番目、土星と強く関連を持ちます。ウィリアム・リリーは述べます

「土星がほど良く強められてこのハウスに入っていると、そして何らかの良い

 アスペクトを木星や金星や太陽や月と持っていると、肉体が頑健である人物を

 示し、一般的には長生きである。」

  そう書いています。アセンダントに在る土星は悪くないのですね。

 

  土星は物体を示します。物体がこの世に存在するとは、時間と空間を占有することですから、強く時と場所の影響を受けます。土星は、このことで肉体全体という意味を持ちます。そして、アセンダントも肉体全体という意味を持ちます。この点で、アセンダントと土星は密接に関わっているわけです。

 

  1ハウスは、体を12に分解した際に頭部を示しますが、別の観点からは体全体も示すわけです。1ハウスはこの点で特殊です。

 

   ホラリーでは質問者のことをカレントと呼びます。

  アセンダントは、質問そのものの本質を表すとされています。カレントによる問題(要素)と同一であり、カレントも表しています。

 

  ネイタル占星術(誕生日に基く星占い)でも、その人自身の肉体を表します。各ハウスは全て本人自身を示すというのは真実でも、全てのハウスがその人自身だけを表すわけではありません。3ハウスは関わってくる近親者ですし、7ハウスはパートナーを表します。一方、肉体的なものに関してだけは、各ハウスがそれぞれ体の各部分を示します。アセンダントは総合的な肉体の他に、頭部を表します。

 

  第1ハウスの支配星はカルディアン・オーダーから導き出される「土星」で、太陽系の一番外側の視認できる惑星を当てています。

 

  第1ハウスの支配星は、壱番目のサインの牡羊のロードである火星ではありません。惑星の割り当ては、ハウスのものと、サインのものと二つあり、それぞれ別の惑星が当てはめられています。ハウスの支配性は、西洋占星術ではカルディアン・オーダーという順序に従って、土星から順に当てはめられています。

 

  牡羊に火星を、そして第1ハウスに当てはめているのはインド占星術です。

西洋占星術では「第1ハウス」「アセンダント」といった場合は、「土星」を当てはめます。そして、ジョイ(JOY)とよばれる惑星は「水星」です。

 

 4ハウス・カスプがハウスシステムの出発点であり終点であることは、輪廻転生観を基にしている私たち日本人にはとても分かり易いと思います。

 

  次に分かり易いのは太陽の昇る場所、全ての星々が上昇する地平線、アセンダントです。光、暖かさ、ひいては生命そのものも太陽が昇ることなしには得られません。appearance"表情等、表に出ているもの“を表します。

 

  インドの哲学にある唯意識論では、心が全てを作り出すのだとしています。心といっても、「定」に入っている時の心ではなく、煩悩を具足した心の方です。「定」に入ると心は止まり、呼吸も止まり(1時間に2呼吸とか3呼吸になります)、煩悩も止まります。「定」から出る時に、再び最初の呼吸の瞬間が訪れます。呼吸は煩悩です。その再び呼吸を始めた時の心がこの世に投影されます。

 

  赤ちゃんはお母さんのおなかの中で肺による呼吸をしていません。出生時の星々は、呼吸という煩悩が生じた瞬間に現れ出るのだとする唯識論では、誕生の瞬間に心がこの世に投影されます。

 


  ネイタルでは肉体全体の体つき、骨格、色、容貌を表します。1ハウスは表現の仕方、ひいては思考方法を表すとされます。もちろん指標を探し出すのがハウスの役割ですから、最終的には惑星の観察が必要になります。

 

  ホラリー占星術では、カレント(質問者)を表します。1ハウスのルーラーがカレントの表示星ということになります。

 

  ホラリーの一般的な質問で、1ハウスと6ハウスを比較する事で健康状態が読み取れると言われます。病気のホラリーの質問の時は、チャート全体が病気の対象になるので、そうなりません。

 

  スポーツの試合のホラリーでは、応援しているチームです。例外もあって、ボクシングのタイトルマッチのチャンピオンは、1ハウスになりません。

 

  色はサインでは無く、ハウスの持つ要素です。1ハウスは明るい色を表します。アセンダントはアングルであり夜明けに近いからです。朝靄もあるので幾分薄く濁った明るさも持ちます。

  出生時のチャートはそれゆえに意味を為します。ここにインド哲学の唯心観を見て取れます。唯識論の説明は割愛します。図書館等でお調べ下さい。

 

  心が全てを決定するので、人生の象徴としての全てが、同時に生まれたといえるアセンダントを通してやって来るのだと、そして昇っている上昇点から一番のエネルギーをもらうのだと考えたわけです。アセンダントが、その人自身の総合したもの(肉体的なもの)を表すという捉え方です。ひいては印象、他人が感じるその人のイメージ、強さ弱さ、バイタリティー、健康さ等です。港に舟を見るように、どのような舟はどのような能力なのかが、ほぼ分かります。

 

  アセンダントは星々が地平線から生まれる場所です。星々が生まれることと、質問が生まれる事、子供たちが生まれる事、イベントなどが発生する事を関係付けて、生まれたモノの重要なポイント、そのものの本質を表すとされます。

 

  ジョイとなる惑星は水星です。水星が頭の中の脳を表すからです。1ハウスが水星と強く関係しているので、話す事、口で表現する事にも関係があります。

 

  1ハウスに、3番目の惑星である火星は一切関係がありません。


ネイタルのアセンダントに惑星が入っていたら・・・

  • 太陽が入っていると、威風堂々といった感があります。自ずと輪の中心部分を占めます。
    太陽にディグニティーがあり、☋とコンジャンクションしていないなど条件はあります。
  • 金星が入っていると、喜びを表現する事に長け、又、様々な楽しい事を演じ、得ます。
    しかし、乙女のサインなどでは、フォールになってしまうので、他の惑星の助けが要ります。
  • 水星が入っていると、おしゃべりするのに長け、教える事とか、書くこと、計算が得意です。
    口うるさいだけ、となるサインもあります。
  • 月が入っていると、太陽と同じく威風を与えてくれます。女性と関わり合いを多く持ちます。
    女性だと、お仲間が多いと考えてください。
  • 土星が入っていると、ディグニティーが高いと長命を与えます。悪いと借金に苦しみます。
    アングルで逆行している土星は、かなり悪さをします。
  • 木星が入っていると、様々な良いとされることを手に入れます。宗教、信頼、信用など。
    もちろん、ディグニティーを持っていてこそです。
  • 火星が入っていると、物質的なものを、値段を構わずに手放します。
    だからといって、誰でも貧乏になるわけではありません。レシーブ次第です。