● 私たちは、時計を使った時間に慣れ親しんでいます。
昔の人たちは、日の出とともにスタートする惑星時間に親しんでいました。時計なんて売られていなかったのです。そして、日本でも、夜が明けたら「明け六つ」のお寺の鐘が6つ鳴りました。
このような時間でも、全く不都合はなかったのです。
朝6つの生まれでも、夏は時計時間の4時頃、冬は、時計時間の7時頃となり、3時間も違っていました。誕生時間なんて、知る人は誰もいませんでした。王宮に住む人以外は。
● エジプトやアラブでも同じことでした。昔の人たちは、それで不都合はありませんでした。10時に会おうとか言うよりも、「お昼前に会おう」で構わなかったのです。
現代では、1分2分遅れても、文句を言う人たちが大勢います。やりきれません。
時計に縛られているのです。便利なこともありますが。
● 単純に、「ノー」です。
ネイタル占星術は、もの凄く発達してきたのだという意見は、疑ってかかる必要があります。ネイタルの例題が少なかったのです。今でこそ、私たちはカレンダーも時計時間を刻んでくれる時計も持っていますが、その昔、グーテンベルグが印刷機を発明する以前、カレンダーなんてその存在さえも知らない人の方が多かったことでしょう。
庶民は、誕生日は、辛うじて、何月生まれぐらいを知っているのが関の山でした。日時は、先に述べた理由で、ほとんどの人は日の出とともに生まれたとか、丁度太陽が天頂にあったとか、それも、後から計算できた人だけが知っているくらいでした。しかも、惑星時間で働いていたわけです。惑星時間の6時と、時計時間の6時は違います。それは、冬と夏のことを例に出して、先に述べました。
● 惑星時間と、時計時間の両方を把握していたのは、大学を出て、天文観測を常時行い、給金をもらって働いていた、王様帰属の天文官だけだったのです。
● カレンダーが売られていないということは
昔の人は、どうやって、ネイタルのチャートを占っていたのでしょうか?
答えは単純です。「ネイタルのチャートを判断することはできなかった」のです。
お爺ちゃんやお祖母ちゃんがいらっしゃる方は、尋ねてみてください。母子手帳などありませんでしたから、誕生日は知っていても、誕生時間など知らないのです。
正確には、占えませんよね。
● もうお分かりだと思います
占星術は、星の動きを使って占うものなのですが、何も、誕生日が分からないと占えないものではなかったのです。
質問が誕生した時の、空に出ている惑星たちを前の日や星々の経過を使って、今、この時の星の位置を計算して出して、それを「質問の誕生チャート」として占っていたのです。
始まりのチャートと呼びますから、ネイタルの呼吸の瞬間と混同されますが、質問を受け取った時のチャートで判断が為されました。
それが、今日「ホラリー占星術」と呼ばれる西洋占星術です。
● 「ホラリー占星術」
もともとの名前は、英語ならインセプショナルなチャート、ギリシャ語のカターキ占星術、物事のスタートで占うものの中から、特に、特定の質問に特定の答えを与えてくれる西洋占星術となっています。
多くの人たちが質問を為し、多くの西洋占星術師たちが歴史を通して応えてきたものです。それこそが、西洋占星術の王道でした。例題にはこと欠きません。優れたチャートの解釈が、優れた後継者を生んできました。全てのチャートが優れたチャートではありません。クライアントと向き合って占ううちに、時々、おっと驚くような素晴らしい配置のチャートができるのです。良いに付け悪いにつけ。
それを、利用させてもらいながら、徐々に占星術師としての腕が磨かれていくというわけです。知性・理性・経験こそが、西洋占星術師を独り立ちさせてくれます。
ネイタル・リーディングの本 | 推薦図書 『星の階梯シリーズ』