西洋占星術の概観

西洋占星師たちは、いまだ太陽中心の宇宙構造を使わずに、地球中心の宇宙観でこと足れりだとしています。登山家や探検家がGPSを使うようになった現在でも、地図上の地点を探し当てるには、天体の位置と、地球中心の鳥瞰図で充分なことを私達も理解しています。

ここ120年程の西洋占星術の概観を見てみると、20世紀の初頭から終わりにかけて西洋占星術は少し不幸な時代にあったと言えます。

 

この間、西洋占星術の多くは17世紀以前から残っていたテキストを頼らずに、17紀以降に始まったコンビニエンスな占星術に頼らざるを得ない時期を経ました。アラン・レオという占星家は20世紀の始まろうとしていた時点で、占星術に危惧を持ちながらも残そうとして多くの執筆をしました。

 

そ甲斐があって西洋占星術は残りました。しかし、彼が伝えている占星術からは、17世紀以には持っていた占星術の精髄がかなり失われてしまったのです。

 

1980年以降、占星術が17世紀以前から持っていた多くの技術が再考され始めてきました。それらのテクニックは疑いを持たれながら確かめられつつあります。鵜呑みにしないという態度はどんな時代にも、確かな技術を残していくために必要なことです。

 

西洋占星術は膨大な領域にまたがる分野を含んでいますが、今日残されている占星術の基礎的な法則は、古代の知恵と経験によって積み重ねられてきたものです。過去に培われたものを忘れずに未来へ通じる道を探ることは、どのような分野にあっても必要なことです。

 

天文による物事の予測という古い時代から伝えられてきた技法を哲学的な背景とともに手渡される場合、常に注意をしながら受け取らなければなりません。なぜならば、様々な文化を吸収しながら長い歴史のを通じて発展してきた中には、初期のものと整合性が取れなくなったものも多々含まれてしまっているかもしれないからです。