百文字占断

仕事の判断  6ハウスに対する誤解



● 仕事の判断はとても難しいものの一つです。

その理由は様々ですが、例えば、アセンダントと10ハウスが同じになることがあります。

また、人間関係の質問と、仕事の質問が重ね合うことから、惑星を分離しにくいことも

あります。更に、6ハウスをアルバイトのような仕事と誤解していることからも来ます。

 

仕事のハウスは10ハウスです。


● 10ハウスが正式な仕事であり、

6ハウスはアルバイトのハウスであるなどと一般に言われていますが、

そうではありません。

 

その期間によって区別しているという方もいらっしゃいますが、長いアルバイトと、明日定年になる正式な仕事ではどちらが期間として長いのでしょうか?

 

この間違いはマニリウスの『アストロノミカ』を、読み間違えたことに由来します。

 

マニリウスの著した『アストロノミカ』の Loeb 版のその箇所は、ラテン語で「porta laboris eritthe」、英訳で「portal of toil;」となっています。

 

 

『アストロノミカ』の6ハウスが“porta laboris eritthe”ですが、"laboris" = "labor" は、"労働" とも訳せますが、そこでは労働を表すわけではなく“厄介事”と訳すべきです。英英辞典では、「the ordinary affairs of life」とあります。日本語に訳すと「人生で気をもまなくてはいけない、やきもきさせる事」のような意味となります。

 

これは同様に12ハウスにも同じ単語をマニリウスは当てはめています。もし、6ハウスが「労働」なら、12ハウスも「労働」のハウスです。

 

● アストロノミカを日本語訳にして「天の聖なる学」とされた有田忠郎氏は、ストレートに「労働の門」と訳されています。同時にこれは反対側(12室)にも当てはまると、その節で訳されてもいます。Loeb 版の英訳ももそうなっているので、有田氏の誤訳ではありません。有田氏は占星術師ではなくフランス文学を専攻されていっらしゃる学者です。

 

● ジョン・フローリーは文脈上からの違いを指摘していて、『もし6ハウスが労働のハウスであるならば(有田氏も書いているように)、12ハウスも労働のハウスとなるであろう』と指摘しています。

 

更に、ラテン語から英語に翻訳するときに、当てはめる単語が少なすぎたのだと述べています。この間違いはビクトリア王朝中期後半に、既に始まっているとしています。また、明快に

『Porta laborisは、マニリウスによってこのハウスに与えられたタイトルではなく、ただここに付いて述べられたものにすぎない。また、この文脈からして "労働のハウス"でもない。』

と書いています。

● ウィリアム・リリーは、ホラリーでもネイタルでも、家畜(の労働や売買その他)から得られる利益という記述はありますけれども、一切6ハウスに労働という意味を当てはめていません。

 

彼のネイタルの章では、彼は6ハウスに次のような記述を残しています。

 

『悲しみや気がかりの前兆となる何事か、体の障りやその部分、使用人、小さな家畜、父方の叔父や叔母、風邪引き、内服薬や薬、蜂、鳩、ガチョウ、雌鳥、豚など』

 

● これらの一連の記述から再考すると、文脈上「労働の門」であれば、「両者とも失墜の危懼(きく)に悩み、憔悴(しょうすい)している」といった言い回しを使うのだろうかという疑問が湧き上がってきます。労働であれば普通は、「疲弊(ひへい)し、憔悴し」、という表現になり、「疲れる」という語が入ってきて当たり前なのではないかと思われます。危懼(きく)に悩み、憔悴(しょうすい)するといった言い回しが適切なのは、やはり英英辞典からの labour の訳、「人生の厄介事」ではないでしょうか。そして、「12室にも与えられている」という部分を、現代的占星術の分野では全く考慮していません。 
 
12ハウスへの意味の割り当ては、疲労、災いのもと、悪い兆し、好ましからぬ運、破滅や破壊の巣窟、孤独と悲嘆、堕落、落胆、気落ちの・・・等です。6ハウスと12ハウスの区別が付かないくらいよく似ています。6ハウスが労働の門ならば、文脈上12室も当然労働の門に当てはまることでしょう。これらから勘案して、「労働の門」と訳すには甚だ疑問を持たざるを得ません。 

現代占星術の本は、おしなべてこの辺りの考察を欠いたまま書き記されています。ネイタルを読み解くにも、労働(疲労、落胆・・・)とこじつけられないこともありませんが、ホラリーの質問に至った場合、完全に読み間違える原因となります。 


● 仕事の質問は、一つ一つが違うと言ってもいいでしょう。

「私は仕事に就けますか?」

という質問ばかりではありません。

 

  • 同僚の問題、
  • 転職の問題、
  • 再就職の問題、
  • 起業の問題、
  • 利益の問題、
  • 創業の問題、
  • 移転の問題、
  • 店舗開設の問題、
  • 従業員の問題、
  • 取引先の問題、
  • 取扱商品の問題、
  • 広告の問題・・・  と、

これらが組み合わせられた問題もあります。

 

本当に一つ一つ違うのです。ですから、基本をしっかりと押さえておく必要があります。