12のハウス



● ハウスの区分

  ハウスの区分方法は、幾つか伝えられているものがあります。4分割する方法は分かりよいでしょう。

 

  昔は、アングルを中心とした四角形のチャートが多用されていました。これで認識し易いことは、アングルが角を占めていることです。大・中・小の四角形が見て取れますが、1、4、7、10ハウスを結ぶ、◇に置かれた四角形で、アングルが視認できます。

 

  サクシダント(サクシデント)は、やがてアングルに行けるハウスとして、希望に満ちています。ケーダントは、ラテン語で落ちるという意味で、アングルから落ちています。落ちるという感覚は、右回りで捉えられます。そうです。ハウスは、日々の太陽の運動であるプライマリー・モーションという動きに従って形作られました。

 

 

 四角なチャートは、組となった3つのハウスをしっかりと示してくれます。

東側が、2ハウス、1ハウス、12ハウスです。

西側は、8ハウス、7ハウス、6ハウス。

南側が11ハウス、10ハウス、9ハウス。

残りが北側です。

 


● 他の区分方法

  アセンダントからM.Cに渡る、12ハウス、11ハウス、10ハウスをグループとする場合もあります。これらは、東のクォーターと呼ばれ、若干、四角形のチャートとニュアンスが異なっています。

 

図は、アル・カビスの説く、ハウスの区分

 

  従って、ハウスはサインとは違っていて、常に1ハウスは、アセンダントを含むものになります。

 

  ここで意見が分かれます。1ハウスとは、あるサインの29度であっても、そのサイン全部が1ハウスであると述べる者。そして、上昇の5度までを1ハウスにする者たちの見解と、違ってきます。このことを、既に、マシャ・ア・ラー(8世紀)が述べています。


● 5度ルール

 

  上記のチャートは4分円方式の、レギオモンタヌス方式ですが、カスプの5度手前までを10ハウスとしています。これと、蟹のサイン全部を10ハウスにるる、2つの考え方があったのです。

 

  西暦の始まる頃から、4分円方式が存在したことは、プトレマイオスの意見で明らかです。

 

  考え方は2つ

  • 5度ルールを採用して、上記のように赤い範囲を10ハウスにしたか
  • 蟹のサイン全体を、10ハウスにしたか

この2つしか、無かったのです。10ハウスのカスプで区分するという考え方は、存在したころすらなかったのです。

 

  特に、ホラリー占星術では、早い段階から5度ルールを採用していたようです。

 


● ハウスは、占星術に付き物です

 

  星占いに携わっている私達にとってあまりにも当たり前のハウスという概念が、実は一般の人々にとっては全く何のことかが分かりません。現代の言葉にそぐわないものの一つです。現代の言葉にそぐわない、とは、物理学的な世界観と隔絶している概念だということです。そういう「ハウス」であって、何かが住む「家」ではありません。

 

  太陽星座占いの12星座、専門的には12のサインという分け方はご存じだろうと思います。星占いにはもう一つ12に分けるものがあって、それが12のハウス・システムです。

 

  乙女座とか獅子座とかともちょっと違っていて、ここではハウスの方を説明します。説明をするよりも図をご覧下さい。下図の、赤い線で囲まれた部分は10ハウスと呼ばれる場所を示しています。ホロスコープ作成ソフトで示されるカスプで区切られた部分とも、幾分違っています。この赤い線は頭の中で構築しなくてはいけませんし、とても曖昧でも構わないものです。

 

 

  ホロスコープ、あるいは、チャートと呼ばれる西洋占星術の図表に向かうと、大概上記の図のようなものが示されます。向かって左側が太陽の昇る所で、東です。北半球での日時計のように、時間と共に右回りにチャートは動いて行きます。

 

  ハウスというのはその東から太陽の進行方向に順に組み立てられて作られたのですが、ご覧のように、どういうわけか番号は逆に付いています。図に基づくと番号は逆時計回りですね。これをハウスと言います。

 

  現在、太陽が昇る東側から地底に向かって1番目のハウスを1ハウスと呼びます。上図で赤い線で囲んで示した所は、ミッド・ヘブン、10ハウスです。

 

  サインの角度数は左り回りに数えます。西洋占星術では、数字は標準として左り回りに数えるので、ハウスの番号もこの数字の数え方に従ったのでしょう。ハウスの組み立てられ方は、太陽の進行とともに時間も時計回りで示されるように、右回りです。

 

  昔は、この意味が勘違いされずにいたのは、ハウスが固有名詞で呼ばれていたからです。番号は付けられていませんでした。1ハウスのことをアセンダントとかホロスコープ、2ハウスの事を冥府への門とか、4ハウスを天底とか意味合いで呼んでいたのです。簡単に数字にしてしまうことによって意味が分かりずらくなりました。

 

  便宜的に説明のしやすいイコール・ハウスシステムを使ったわけではありません。

  サインの他にも30度ずつのハウスもありますと教えられたのだと思います。

 

  ハウスはサインとイコール書かれることもありました。これは、ハウスの意味 = サインの意味ということではありません。アセンダントに天秤のサインが来ると、天秤のサインが1ハウスですよという意味です。2ハウスは、そっくり蠍のサインになります。

 

  これに対して、都合の悪いことも出てきます。あまりにも、12ハウスが地平線よりも上になってしまうのです。そこで、解決策が出てきます。

 

  アセンダントの地平線から上、5度付近までを1ハウスにしようと決めたのです。

 

  ただ、カスプから5度遡れると言っても、サインの境界を超えません。ベースが、ホール・ハウス・システムになっていたからです。従って、カスプのある部分によって、5度遡れたり、遡られなかったりすることになります。上図では1ハウスは5度遡れますが、2ハウスはその前2~3度だけしか遡れません。サインを超えるからです。エントランスの狭い2ハウスになりました。5度以上遡れることもあります。

 

  この図は、1ハウスを示す図です。赤い線で囲われた部分がほぼ1ハウスです。

 

  サインは30度ずつハッキリと区分できますが、ハウスはとても曖昧な部分が在ることが示されています。この世は、決められた事柄と曖昧な事柄の二つが重なり合っていることを如実に示しているようなものです。

 


  ハウスの意味は一つだけの理由で成り立っているわけではありません。太陽との関係がもっとも強いと言えますが、オポジションになったハウスの意味を加味する事も忘れられていません。そして、モダンな占星術では顧みられなかったジョイという概念が、意外にもハウスの意味を捉えるのに大きな役割を果たしています。

 

  サインの方の意味は、大きな時間、太陽の季節による変化から来る意味合いが主になっています。短かな時間、日々の太陽の動きにつれて変化する事柄は、ハウスの意味に加味されていきます。そしてサインとハウスの関係についてマニリウス※1は書きます。

 

  『どのような星の位置も、全てのサインは、ハウスの中に占められ

   る空によって影響される。位置が星を制し、利益を得るか傷つけ

   るパワーを星々に与える。各サインはその回転に従って、天そ

   のものが告知する天の影響を受け取り、その位置の性質を波及

   させ、その領域にある支配権を行使し、それらサインが通り過ぎ

   る時、その性質の中に自身のものを服従させる… 』

  マニリウス、アストロノミカ II-860節

 

  このように、ハウスの影響をサインが受け取ると書いていますから、ハウスの意味を正確に把握する事は占星術上の一大事です。

 

  卑近な例は、アングルに入っている惑星は強いということを経験していくと理解できます。惑星達もハウスの影響を受けているからです。


※1 マニリウス、アストロノミカ(西暦10年)という、西洋占星術の技法を踏まえた抒情詩を著した。抜粋はそこから。英語版からの訳はHPの筆者 Kuni. Kawachi


  4ハウス 10ハウス

  3ハウス  9ハウス

  2ハウス  8ハウス

  1ハウス  7ハウス

 12ハウス  6ハウス

 11ハウス  5ハウス