西洋占星術の 4ハウスの意味



■ 星占い、西洋占星術の4ハウス(支配星は太陽 密接に絡むのは土星)

 

  ハウスの支配星は太陽ですが、父親を示す以外に、太陽の意味は見当たりません。

 

  歴史的に、4ハウスは土星の神殿という呼び名がありました(マニリウスの著わした Astronomica [西暦1世紀の本]に出てきます)。現在、土星は12ハウスのジョイですが、4ハウスから土星の意味が失われたわけではありません。また、土星と関係づけないと、4ハウスの意味が構築できなくなります。ここは、農業用の農地のハウスです。土星はイタリアの神話ではサトゥルーヌス、農作物の豊穣を与えてくれる神です。まさに、土星のハウスなのです。

 

  おそらくとの憶測ですが、4世紀のペルシャの占星術たちが、土星を12ハウスのジョイとして移動させました。土星が昼の惑星だからという理由で、地平線の上にあるハウスに移動させたのです。

 

  土星は、大地、グロスで物体(主に肉体)を表します。土地ということから、故郷、父祖伝来の地所、相続財産を表します。まさしくチャートの根(ルート)なのです。そして、父祖伝来の血筋(ルーツ)を表します。

 

大地のアングル(根)

● 4ハウスは、チャートの根・ルーツです。

 

  4ハウスは、天球を支える四つの重要点の一つです。全ての惑星達が下降を終え上昇に転じる所です。天の回転の下降と上昇の基をここで受け持っていますから「礎いしずえ」という意味を持っています。

 

 下記の図をご覧いただくと解りますが、下降を終え、そして、上昇もしています。 

4ハウスは、全ての惑星たちが下降を終え、上昇に転ずる点を含みます


● 4ハウスはチャートの根っこ、ルートです。そこで、人のルーツ(血筋)、祖先と考えることができます。祖先で一番近いのが両親ですから、4ハウスは両親のハウスです。両親から上の祖先も根(ルーツ)ですから、4ハウスです。したがって、両親、両祖父母、曽祖父母、・・・ 連綿と繋がる祖先という意味があります。祖先をひっくるめて指し示すのが4ハウスです。同時に、祖先から伝来してきた世襲財産を示します。

 

  両親の中から、特に父親と母親を区別しなくてはいけない時にだけ、家系の血筋を根とします。多くの場合、父親が家系の血筋を表すので、ほとんど父親が4ハウスです。聖書でも、日本書紀でも、父()に従うとなっているからです。男女の仲では世の東西を問わず、男が指針を示す事になっています。家系は、女が主導権を取ると断絶(絶家)します。聖書や日本書紀は、それを喩えを持って書いています。

 

  社会的な結婚(オポジションの10ハウス)のハウスと共に、しっかりとチャートの中に家系を維持する考え方が入っているわけです。

 

  家系が途絶える事、絶家するかしないかは、観察するためのとても長いスパンが要ります。ここ数年、お寺に行くとお参りに来られない無縁仏が増えているそうです。絶家している家がとても多いのです。何故でしょうか? 女性が主導権を握る家庭が増えていることと無関係ではありません。男が弱くなったとも言えます。戦後、神話で語られる、信じられない様な世界観に基づいた教育が為されなくなったのです。神話は、重要なことを我々に語っているのです。

 


  占星術の中では、にわかには信じられないことを幾つか扱っています。でも、私たちはそこに、何らかの真理を感じるからこそ学んでいるはずです。占星術は垂示思想の一種です。天が何かを我々に伝えようとしているかもしれないという考え方に基づいています。

 

  4ハウスは、チャートの根として礎いしずえの置かれている事は疑いの余地がありません。ここに男性と女性を区別しなければならない時に女性を置いてしまうと、家系の断絶、根の断絶に通じます。必ず女性を娶れという意味ではありません。かかあ天下になると、そうなるという意味です。

 

  カルディアン・オーダーで惑星を並べると、4番目は太陽です。ハウスの支配星は惑星の一番外側にある土星を一番目として1ハウスに当てはめられ、二番目が木星で2ハウスに当てはめられ、三番目が火星ですから3ハウスの支配星になっています。そうやってハウスの支配星を四番目まで来ると太陽になります。それが、4ハウスに太陽が当てはめられている理由です。ここは太陽の支配するハウスですから、上記の理由を加味すると両親を表し、父親と母親を区別するときに父親なのです。くどいようですが、土星は夜のチャートで父親のナチュラル・ルーラーになります。

 

  日本の西洋占星術スクールの中で、古典的なものを教えていると書かれているのに、4ハウスをいまだに母親のハウスと教えている教室が現実に存在します。主催している先生は、とても勉強しているのに、クロスリファレンスとか疑いを持たず、勉強する姿勢がまだ生徒のままなのです。

 

  あるいは、いまだ、過去に学んだ事柄を大事にし過ぎて、疑いを晴らしていないのでしょう。

 

  ある、古典的なものを教えていると述べる有名な某先生等は、惑星の定義で、太陽や月も占星術では惑星と言うと、踏み込んだ意見を述べながらも、天文学的な惑星に対しては、何の検討も行わず、即座に西洋占星術の惑星に入れ込んでしまっている人もいます。これでは、片手落ちです。

 

  西洋占星術の研究は、一筋縄では行かないのは事実です。それは本当のことなのかを調べるのは、最終的に自分だからです。調べもせずに意見を述べることは、私にも無いのかというと反省すべき点はあります。でも、それだからこそ、真摯に学ぶ必要があるのです。

 


  5ハウスの支配星は金星なので、楽しみのハウスになります。モダンな占星術で4ハウスが母親にるなら、5番目の獅子のサインから5ハウスが父親にならなかったのは何故でしょうか? 氾濫する情報のせいで、4ハウスが母親だとする意見を鵜呑みにすると、いずれは、家系断絶の悲劇に通じてしまいます。

 

  カルディアン・オーダーで、4ハウスに4番目の惑星太陽が密接に関係していることが分かれば、太陽を父に、月を母に与えてきた自然な感覚が自ずと父親を4ハウスに結び付けます。4ハウスは、祖先のハウスとして、家庭の中の年配者の部屋ということにもなっています。年長者を中心にして家族が集まれる場所、居間です。ここにも、家系を維持する場合に年長者を大切にしなければいけない思想が見え隠れします。

 

  4ハウスは全ての天体が下降を終え再び上昇に向かうので、天底とも呼ばれる場所です。ここから祖先に対する尊敬の念、更に尊崇の想いに通ずると観ます。特定の祖先を選び出したいときにはチャートを[回し]ます。父親の父親は7ハウスです。チャートを「回す」と、父親が4番目の4ハウス、その4ハウスから4番目が祖父となり、それは7ハウスになります。数え始めるための数字は、1からです。西洋占星術が生まれた当時、まだ、インドから零(0)という概念が入ってきていなかったからです。したがって、序数で語られていることが多くあります。イグザルテーションの度数も序数ですから、太陽が♈の19度と書かれていても、18.00度~18.59度までのことです。

 

  太陽のカジミも、17分(序数)となっていますが、16分(基数)までです。ちゃんと、視直径である32分(基数)と合ってきます。

 


  4ハウスは、家にある骨董品の掛け軸がお宝なのかどうか… を示しません。世襲財産には入るかもしれません。それが利益を生むかどうかは、そこからチャートを回した2番目、5ハウスの事柄でしょう。

「家にある古い掛け軸は、骨董品としての値打ちがあるのか?」

たぶんこの質問では、5ハウスのルーラーのエッセンシャル・ディグニティーとアクシデンタル・ディグニティーで判断できると思います。

 

  「家には言い伝えがあって、敷地には大判小判が眠っている可能性があります。本当に埋蔵されていますか?」

この問題ならば、間違いなく4ハウスの問題です。4ハウスのルーラーのディグニティーが高かったなら、さっそく家を取り壊して地下を掘ってみましょう!  何も出てこなくても、その土地にぴったりの農作物を植えればよく実ることを示します。

 

  父親の所有物は一般的には5ハウスです。5ハウスは、父親のポケットマネーを示すからです。でも、文化的な遺産とか、家訓、その家代々、その家系の遺産は、4ハウスが示します。

 

  母親の特定のポケットマネーとして区別されるものがあれば、子どものために残してくれる母親の貯金は11ハウスになります。しかし、古代、母親の財産と父親の財布を明確に分けてきたわけではありませんだから離婚が少なかった。夫婦の財布は一緒だったからです。現代の法律でも配偶者は自分と同一視(0等親)しています。ですから、意外とこの質問は難しい事が分かります。たとえお母さんの財産でも、お父さんのポケットマネーとして占った方が適切かもしれません。11ハウスが強いというのは母親の財産かもしれませんが、仕事からのお金か、友達関係と考えた方が良いでしょう。 


● 1950年から2000年代初頭までに発刊された日本語になっている西洋占星術の本のほとんどが、4ハウスの支配星を月としています。そこから、“母親は4ハウス” を導き出しています。

 

  ここで書くように、古くはサインの支配星と、ハウスの支配星は別々でした。

 

  それが一緒になっていったのには何か理由があるはずです。

 

  4ハウスが父親のハウスになるのは、ハウスとサインは成り立ちが違うからです。

 

  こんな基本的で大事な部分が違っていては、占星術が当たらなくて当たり前ですよね。
  基本的な部分の検証って、どうなってるのでしょう。

 

  サインと同期させて類推することで、ハウスの意味が導き出せるのでしょうか?

  それとも、ハウスは、サインと別々の理論を持っていると考えるのが正しいのでしょうか?

 

  蟹のサインと4番目のハウスを同期させると、確かにハウスの支配星も月になります。しかし、月は、根(ルーツ・家系)という意味を持ちません。「産み育くむ」は出てきます。したがって、祖先という意味を4ハウスは持たなくなります。

 

  月と太陽ではまるっきし正反対です。ここではハウスの話をしています。ハウスの成り立ちは17世紀以前のハウスのことが書かれている本を探るまで、誰にとっても疑問のままかもしれません。17世紀以前の本なら、どの本を探っても大丈夫です。

 

  4ハウスは祖国のハウス、外国と区別したい時には、9ハウスが支配者の違う国です

 

  5番目のサインが太陽によって支配されていたとしたら、5番目のハウスは父親になるはずです。

 

  5番目のハウスは喜びの部屋になっていて[サインとハウスは違う概念なので]、太陽とは全く関係がありません。これは、モダンな占星術の範疇内で考えても分かるはずです。子供が♌のサイン、バーレン・サイン(赴任のサイン、不毛のサイン)ではできることもないからです。5ハウスを金星が支配しているからこそ、子供も生まれ、歓びのハウスとして理解できます。そして、5ハウスで金星がジョイになります。

 

 4ハウスこそが、カルディアン・オーダーで4番目の惑星、太陽のハウスです。

 


 元々、太陽星座占いは、エンターテイメントな、雑誌のコラムや新聞のコラムの執筆を目的として作られた星占いです。それが席巻して、エンターテイメントなもので「実際の占い」をしようとすることから、無理が生じるのです。

 

 西洋占星術のルールはとても細かく決められています。それを学ぶことなく、エンターテイメントな星占いで「占い」を行うことはできません。できたつもりになることはできるでしょう。でも、相当、危険なことです。天に対して嘘をつくことになるからです。

 

 まず、検証をしたことの無いような法則で占うことが、どれだけ危険なことか解るでしょうか?

 

 私もその道を通ってきました。幸いなことに、それで占ってお金を頂いたことはありません。何故なら、どうやって占っていいか分からなかったからです。自分のことさえも分かりませんでした。そうかもしれない、ということはありましたが、検証の方法もなかったのです。